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神奈川県は2016年度の犬猫殺処分はゼロと発表したが、横浜市はどうなの? 時を同じくして市は待機児童が2人と発表するも、実態とかけ離れ過ぎていると批判されたばかり。キニナル!(よこはまいちばんさん)

はまれぽ調査結果!

横浜市では処分対象動物に対し安楽死を行っている。神奈川県は犬猫の処分はしない。殺処分「ゼロ」の光と影をボランティアさんに直撃

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2017年11月05日

ライター:関口 美由紀

横浜市動物愛護センターと神奈川県動物保護センターを取材した前編の記事では、殺処分についてのそれぞれの考えが分かった。
しかし、センターを現場で支えるボランティアさんは、どんな考えを持ち活動しているのだろう?
殺処分「ゼロ」の現実を知るためにはさらなる取材が必須と考え、後編ではボランティア活動や現状についてレポートする。



ボランティアの活動とは?

「私なんかで大丈夫ですか?」と言いつつも、取材をOKしてくれたのは、「いぬねこサロン ジュン」を経営する小島香代子(こじま・かよこ)さん。

 

「いぬねこサロン ジュン」。看板は小島さんの手作り
 

相模湾を見下ろす丘の上にあるご自宅兼トリミングサロンで、エルくん(柴犬)、ふーちゃん(トイプードル)、ごんちゃん(フレンチブルドッグ)という3頭のワンちゃんが、にぎやかにお出迎えしてくれた。

この子たちも、元は保護犬だ。

「最初のうちは気を使っていたのかぜんぜん吠えなくて、すごく静かでいいなんです。だから初めて『ワン』って言ってくれた時は、自分を出してくれたみたいで嬉しかったですよ」

 

「はい、集合!」って言っても誰も来てくれません
 

小島さんは、動物全般が大好きでその動物たちが人間のせいで考えられないようなひどい目にあっているという事実を知り、理不尽さを感じたという。自分にも何かできないかと、保護活動を始めたのは大学時代。

その後、結婚し小学校教員となったが32歳で退職。そんななか改めて一番やりたいことは何かと考えた時に浮かんだのは「動物の保護活動」だった。

しかし、それだけでは仕事にはならないと、トリミングスクールに通って資格を取り、1年後にお店をオープン。しかし、開店の1ヶ月後に東日本大震災が起こる。

 
 
言葉を選びながら丁寧に分かりやすくお話してくださいました
 

誰もが想定していなかった事態。人間すらどうなるのか分からない中で、ペットたちの対応を即座に考えることなど出来ない。行政も愛護団体もペット救出のためだけに連携を取れるはずもなく、とにかく、「出来る人が出来ることをやらなければ」という状態だったという。

そして、福島県南相馬市(当時は原発による警戒区域に指定)から避難しているご家族のチワワを2頭を預かることに。微力ながらも必死に全力で向き合った。

その経験を踏まえて、2011(平成23)年に神奈川県動物保護センターにボランティア登録をした。
個人活動のため年間数頭しか引き出せないと言うが、それでももう何頭も新しい家族の元に犬と猫を送り出している。

 

トリマーとしての技術を生かし「シャンプーボランティア」としても尽力されている
 

これまでの取材では、愛護・保護センターの立場からのお話を伺ってきた。
神奈川県に関しては「ボランティアさんのご協力があって殺処分『ゼロ』が達成出来ていると」聞いてきたが、ボランティアの当事者としてはどう考えているのだろう?

「センターが一生懸命やっているのも、事情も分かっているので、批判したり職員さんを傷付けるつもりは全然ありません。しかし、せっかく今回取材のお話をいただいたので、自分が見たものはきちんとお伝えしないといけないと思っています。なので、ひとりのボランティアの意見として、お話させてくださいね」と小島さん。

 

サロンのお客さんたち。幸せいっぱいのワンコ
 

かわいそうな動物を少しでも減らしたいと始めたボランティア活動。
「今まで動物たちのことだけを考えて行動して来ました。その結果、『ゼロ』という数字が上がって、良かったね、嬉しいね、だけでは済まなくなってしまいました。その先のことについて、きちんとみんなで考えなければならない時期が来ているというのを感じています」

 

神奈川県動物保護センターの処分機。この装置が作動することはもう二度と無い
 

小島さんは「殺処分『ゼロ』という数字が脚光を浴びているけど、突き詰めていくとそこにも光と影はあります。神奈川県が『ゼロ』という数字を出したことで、『もう処分はしない』と、県の行政を動かすことが出来ました。それはとても素晴らしいことですが、それを続けるにあたっての闇の部分というのは、センターに出入りしていれば誰もが気になっていると思います。一番の問題は、このセンターに臨床医がいないことです」と語る。

臨床医とは、具合が悪い動物の診断をして治療や投薬、必要であれば病原を取り除く手術をする「動物のお医者さん」だ。

神奈川県の職員の中には獣医師資格を持った方がたくさん在籍している。しかし、レントゲンや検査機器の機材や人員の不足などの問題もあり、ケガをした個体の手当や縫合、不妊去勢手術、ワクチン投与などの処置は出来るが、病体に対して治癒を目的とした十分な治療は出来ないのが現状だ。

 

神奈川県動物保護センターで実際に使われている手術室 
 

つまり、こういうことだ。
横浜市なら安楽死処分対象となる重篤な症状があっても、殺処分「ゼロ」を掲げる神奈川県では処分は出来ない。例えば、収容犬の腫瘍が破裂し、苦しんでいても、センターの獣医師がこの犬に対して出来るのは、止血や投薬等の最低限の処置のみであって、腫瘍の根本的な治療は出来ないのだ。

収容数が多すぎるからと犬を処分するのと、重篤な状態で苦しんでいる犬を楽に眠らせてあげるというのでは話が違う気もするが、書類上のカテゴリーでは同じ「致死(ちし)処分」に分類されることになる。
その結果どうなるかというと、そのまま「自然死」を待つことになるのだ。

 

横浜市と神奈川県の比較
 

殺処分「ゼロ」という状況がいつまで続くのか、いつまで続けられるのかという判断を、県も迷いながら、悩みながら、なんとか繋ぎ、ボランティアたちが必死でサポートしている。このバランスがいつ崩れるのか分からない、綱渡りの状態なのだ。

神奈川県には、重篤な症状の個体を引き出すボランティアもいる。
しかし、そういう犬は譲渡するのが非常に難しいので、結局、そのボランティアが看取ることになってしまう。
規模が大きく、しっかりしたボランティアでないと、引き出すのもなかなか勇気がいる行動なのだ。

「小型犬や純血種、年齢が若いはすぐに貰い手が見付かるので、そういう子は早くに引き出されますけど、病犬や老犬、中・大型犬は残ってしまい、3年間センター暮らしという子もいます」ということだ。

 

職員さんがブラッシング。柴犬も収容数が多い
 

「『迷子もゼロ、持ち込みもゼロ、センターに収容される動物の数がゼロ』であれば喜ばしいことなんですが、ボランティアがいくら頑張っても、収容される動物たちはどんどん入って来ます。殺処分が『ゼロ』というのは、実は根本の解決にはなってないんですよね」

つまり、システムや県の制度自体を変えていかないと、動物たちの状況は良くならないということだ。

「現在のセンターは殺処分前提で作られた施設。そもそも5日後に処分する動物に治療をする必要がなかったから、治療のための設備もシステムもないんです。けれど、今は殺処分『ゼロ』になった。でも設備もシステムもそのままでは、長期収容となった動物には十分な環境とは言えず苦痛をもたらすこともあります」

「中で苦しんでいる動物が1頭でもいるとなると、それは本末転倒。今まで辛い思いをして来た動物たちが、さらに辛い思いをするのはかわいそうですから」と小島さんは考えている。

 

古いカラー(首輪)をした犬の姿も多い。飼い主と犬を繋ぐ唯一の「絆」だ
 

小島さんは続ける。「誤解のないようにしていただきたいのですが、県の職員さんたちは皆さん、出来ることは全てやってくださってます。愛情を持って接して、食餌や糞尿の処理、清掃、お散歩、お世話全般、出来ることは全部、それ以上にやってくださっています。でも、処分『ゼロ』の裏に隠れて、どうしても『出来ないこと』があるんです」

 

職員さんと一緒にお散歩。訓練の成果を見せるデモンストレーション犬として活躍している
 

 
でも、さすがにボランティアさんに頼りすぎですよね?・・・キニナル続きは次のページ≫
 

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