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栄区の田谷の洞窟が風化・劣化が進んで維持管理が難しくなっているようで、内部を3DスキャンしVRとして残そうという計画があるようです。実際の劣化具合や現状の対策、VRの計画等を調べて下さい(やしーさん)

はまれぽ調査結果!

2020年を目途に、現状保存と並行してVRデータ化計画が進行中。現在はVRデータ化に向け、専門家によるさまざまな学術調査が行われている

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2017年11月20日

ライター:田中 大輔

横浜市内にあって鎌倉の面影をしのばせる場所、として2013(平成25)年にも取り上げた「田谷山瑜伽洞(たやざんゆがどう)」、通称「田谷の洞窟」。
 


通り沿いには大きな看板も出ている「田谷の洞窟」

  
この田谷の洞窟を巡って、現在、大きな動きが始まっている。
それが、今回のキニナルにある「洞窟のVR(バーチャルリアリティ)データ化」というもの。どういった経緯で計画がスタートし、どんな目的があるのか。そして、今後、田谷の洞窟はどうなっていくのか。

洞窟のある田谷山定泉寺(じょうせんじ)の渡辺隆人(わたなべ・りゅうにん)副住職と、田谷の洞窟保存実行委員会の田村裕彦(たむら・やすひこ)委員長に取材した。



風化・劣化にさらされる田谷の洞窟

田谷の洞窟があるのは、栄区田谷町にある真言宗大覚寺派のお寺、定泉寺の境内。
およそ800年前の鎌倉時代から江戸時代後半に当たる天保年間にかけて、鶴岡二十五坊の僧侶たちによって作られたとされていて、内部の壁や天井には菩薩や如来など、仏教にまつわるものを中心に多くのレリーフが彫り込まれている。
 


定泉寺本堂。お寺は1500年代の創建で、洞窟の方が古くから存在する


獅子のレリーフ。洞内は撮影厳禁だが、今回は特別に許可をいただいた

 
和田義盛の三男で、「朝夷奈切通(あさひなきりどおし)」にもその名を残す朝比奈義秀にまつわる伝説も伝えられる歴史ある洞窟伽藍(がらん)で、全長1kmのうち、250メートルほどの部分は誰でも拝観することができる。毎年1万5000人以上が訪れ、その独特の雰囲気に触れているとのこと。

洞内には、四国八十八箇所をはじめ、西国三十三箇所、坂東三十三箇所、秩父三十四箇所の日本四大霊場すべての写し霊場が設けられている。四大霊場が一カ所に集まっている場所は、全国的にもほとんどないそうだ。
 


四国八十八箇所の写し霊場の一部。壁一面に仏様が掘られている

 
しかし、なにしろ古い部分は800年前のもの。
安全性にこそ問題はないものの、レリーフの風化・劣化が進んでしまっているという。経年によるものはもちろん、乾燥や拝観者の吐く二酸化炭素、近年になって増えているゲリラ豪雨の影響、さらには心ない人のイタズラ書きなどが原因となって、田谷の洞窟は今、ピンチを迎えている。



ベストである現在の状態を残す

保護活動のきっかけとなったのは、2年ほど前の出来事だ。
洞窟の一般公開されていない一画で陥没が起き、土砂が洞窟内に流れ込む事故が起きたんだそうだ。幸い、このときは仏様へのダメージはなかったそうだが、これまでには崩れてしまった彫刻もあるし、今後そういった事態が新たに起きることだって想定される。
 


アーチ部分が崩れ、石仏に被害が及んでいる個所も

 
また、通常なら数十万円程度でできる修繕費用が、洞窟内という特殊な環境であるがために数百万円にまで膨れ上がってしまった。
田谷の洞窟は横浜市の登録地域史跡となっているが、これは文化財としては最も低いランクで、制度上、市からの助成は望めない状況だ。

そのため、修繕や保護にかかる費用はすべてお寺持ちとなってしまう。定泉寺では、2年前の洞内整備のときだけでなく、それまでにも何度となく修繕や維持に多額の資金を投じてきていて、現実問題として、お寺の経済力だけでは洞窟を守っていくのが難しい状況にある、と渡辺副住職は話す。
 


狭く、深い洞内では工事も簡単に行えず、費用がかさんでしまう

 
そんな中、その陥没事故の際、檀家さんの一人が、自宅の工事を頼んでいた建築設計事務所を営む田村さんに相談を持ちかけたんだそうだ。

元々、田谷町近くに住んでいたという田村さんは話しを聞いて一念発起。田谷の洞窟保存実行委員会を立ち上げ、渡辺副住職とタッグを組んで洞窟の保存に取り組むことになった。
 


お話を聞いた渡辺副住職(右)と田村さん

 
「どんな技術を使っても、一度崩れてしまった仏様は元に戻らない」と話す渡辺副住職は、「つまり、過去には戻せない以上、現在がベストの状態ということになる」と続ける。

そのため、保存活動においてまず目指すのは現状維持だ。できるだけ風化・劣化が進まないように手を施すことが大切になる。
しかし、古いものだし、費用の問題もある。自然現象が引き金にもなるから、どうしたって限界が来てしまう。
 


この部分は乾燥が原因となってはがれ落ちてしまったそうだ

 
そこで持ち上がったのが、洞窟の現状をVRデータとして残すという方法だ。
渡辺副住職は「基礎だけが残った城址がありますよね。あれでは意味がないんです。今の技術なら、VRデータとして現在の状況を残すことができるんです」と話し、洞窟そのものの保護と並行して映像データを残すことで、いつの日か田谷の洞窟が見られなくなってしまったとしても、後世に「こんなものがあったんだ」と語り継いでいける状態を目指しているのだ。
 
 

VR化への第一歩、学術調査がスタート・・・キニナル続きは次ページ≫
 

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