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北鎌倉の「14年待ち」の天使のパンは本当に届くのか?

北鎌倉の「14年待ち」の天使のパンは本当に届くのか?

ココがキニナル!

今注文すると14年待ちという、北鎌倉の「天使のパン・ケーキ」のパン・ケーキの味と、どんな人が作っているかがキニナル(ウル虎の冬さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

落車事故で脳と左半身に障害を抱えた元競輪選手が1日に数個ずつ、注文者のために心を込めて作っているので、現在はおよそ14年待ちで届く

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ライター:紀あさ

はるか昔にオーダーしたパン



10月のある日、筆者に1通のメールが届いた。差出人は「北鎌倉天使のパン・ケーキ」。

「長い間、楽しみにお待ち下さってありがとうございます。
大変お待たせ致しました。いよいよ順番となりましたので
多以良泉己がパンとケーキをお作りさせて頂きます。」

これは一体いつ頼んだパンだったのかと過去のメールを紐解く。
 


6年以上前、2010(平成22)年9月1日の注文だった

 
はまれぽ.comは2010(平成22)年11月1日に誕生し、もうすぐ6周年だが、なんとはまれぽ誕生より前に注文していたものだった。
 


そして今注文すると、お届けまでに14年以上かかるらしい(HPより)

 
今を逃せば、14年後までキニナル取材ができないかもしれない・・・。この機会にいざ、北鎌倉に6年越しのパンとケーキを直接引き取りに訪れ、取材もさせていただくことに。



北鎌倉、坂の上の洋館



「北鎌倉からずっと上り坂になりますので、行きは25分くらいかかると思います」

そんな断り書きと駅からの丁寧な道順案内がメールで届いた。
 


JR北鎌倉駅に降り立つ


道中の郵便局も鎌倉の風情


さほど広くない道をずっと上がっていく


白×ブルーの洋館に到着した


表札はSALON KAMAKURA TAIRA & USAMI

 
敷地に入ってみると天使の館とでもいおうか。
 


庭に天使のオブジェ


呼び鈴の上には「Gateau d'ange(ガトー・ダンジュ)」の文字と天使の羽根模様

 
「Gateau d'ange」はフランス語で「天使のお菓子」の意味で、よく見ると玄関扉の右上にはネコの天使が描かれている。

ここが「天使のパン・ケーキ」を作る多以良泉己(たいら・みずき)さん(41歳)のご自宅。

「天使のパン・ケーキ」という名前は、友人たちが口々に「天使がいそうなおうちだね」「天使が似合う」と皆、こびとや天使の置物などを持ってこの家を訪れ、だんだん天使の家のようになってきたことから、いつのまにか自然に定着していった。

家に入ると「今くらいの季節と春が、一番パンがおいしくできます。いい時期にお越しいただけました」と、妻の宇佐美総子(うさみ・ふさこ)さん(45歳)が笑顔で迎えてくれた。
 


左から泉己さん、息子・龍聖(りゅうせい)くん(4歳)、総子さん

 
キッチンにいわゆるパン屋さんの設備はなく、家庭用の小さな道具で、パンやケーキを手作りする。
 


パンを焼くのは家庭用のガスオーブン

 
約3時間かけてゆっくり作られるというパンは、一度にひとつずつしか焼くことができない。
 


食べてくれる人を思い浮かべながら丁寧に作られたパン

 
多くても1日に4個しか焼けないというパン。「きょうは○○さんの日」、というように決めて、ひとつひとつ心をこめて捏ねて焼く。
 


大理石の作業台は泉己さんの身長に合わせて総子さんが製作したもの

 
パン作りは室温23~24度、湿度60~65%、仕込みの水温40度が一番おいしいパンになる。生地に音楽を聴かせて手ごねする。ちょうどいい具合に生地に触れると、手からやさしい気が伝わる。

焼き上げで生地が縦方向に膨らんで白い線“ホワイトライン”がしっかり入れば、生地のキメが整って発酵も進んでうまく焼けたおいしいパンの証。
 


焼けたパンをラッピングして発送するのは総子さんの役目


1日にほんの数個だけパンが出来上がる


パンには食べてくれる人を想った手紙を添える


発送を待つパンと、作り終えた泉己さんと遊ぶ龍聖くん