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第三京浜から見える「ピアノの康平運送」。ピアノの運送だけで儲かるの!?

ココがキニナル!

第三京浜横浜方面の保土ヶ谷料金所手前当たりに『ピアノのこうへい運送』という看板が。ピアノ専門の引っ越し屋さんでしょうか?だとすれば商売成り立つのでしょうか?(はまりんくるさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「康平運送」は1958年に横浜で創業。ピアノをメインとした運送業者として販売店からの運送、引っ越しなど繁忙期には1日100件を超えるほど需要がある

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ライター:かわいよしひこ

創業50年! 横浜唯一の老舗



第三京浜と環状2号線の交わる羽沢インターチェンジ(IC)付近を車で走行したことがある人は、目にしたことがあるだろう“ピアノの康平運送”の看板。
 


第三京浜から見える「ピアノの康平運送」の看板(Googleストリート・ビューより)

 
今回寄せられた投稿は、同社がどのように成り立っているのか、というもの。
実は筆者、過去にこの看板を見た記憶で問い合わせをし、同社を利用したことがあった。

当時のことを思い出しながら、実際の事業について聞くため、取材を申し込んだ。

対応してくれたのは、代表取締役社長の富田覚(さとる)さん。早速話を伺いに、横浜市神奈川区三枚町にある本社を訪れた。
 


現在、三代目社長の富田さん

 
同社は1958(昭和33)年に神奈川県を軸にしたピアノの運送店として開業したそう。創業者は現在の社長の祖父にあたる富田濱平(はまへい)氏。濱平氏は当時、楽器メーカー、ヤマハの物流部に在籍していたことから、ピアノの梱包や搬送についてのノウハウがあったことに加え、都内には運送業があったが、神奈川県内ではなかったため、ここ三枚町で事業を起こしたそうだ。

濱平氏は、この運送業は必ず伸びる業種だと感じていたという。先見の明があります。
 


開業当時の写真
 

事務所はこんな様子だった

 
現在の従業員は、運転手20名、事務員4名、倉庫管理3名。横浜の本社以外に、藤沢営業所も構えている。事業内容は、ピアノの運送・管理やピアノのクリーニングなどのメンテナンス、さらには、ピアノのレンタルも行っている。また、数は多くないが業務用コピー機の運送なども行っているとのこと。

ちなみに、社名の由来を聞いてみると、祖父の濱平氏の“平”と、覚氏の父であり、二代目社長、現会長の富田康夫(やすお)の“康”から1文字ずつ取ったそうだ。
 


事務所には濱平氏のプレートが飾られていた

 
さて、質問者の疑問である「ピアノの運送でどのように売り上げを立てているのか」富田さんに聞いてみよう。

「ピアノの運送に関しては、大きく二つに分かれます。一つは、販売店さんからの運送。もう一つは個人の方の引っ越しなどの運送です。祖父がヤマハに勤めていた縁もあり、ヤマハのピアノの販売店さんからの搬送は、神奈川県でしたら、ほぼ私共が請け負っていると思います。そのほかにもエレクトーンやヤマハに限らず電子ピアノなども運送しています」

では、ほかの運送会社とはどう違うのだろうか?

「我々が普通の運送会社と違うのは、ピアノの設置まで行うことです。つまり、お客様の生活の場にまで踏み込むことになる。しかも、ピアノともなれば、決して安い買い物ではないので、楽しみに待っているんですよね。だから、社員の対応の仕方、身だしなみや言葉使いなども特に気を遣う部分でもありますね」
 


開業当時からピアノの設置まで行っていた

 
引っ越しの料金については、移動距離、設置場所、クレーン車の有無などによって変動する。例えば、アップライトピアノは1万6000円~(税別)となっている。

ピアノ運送と簡単に言っても、富田さんの言うように、ただ運ぶだけではなく、室内に入り設置(もしくは室内から搬出)するところまでが仕事となる。住んでいる場所や設置スペースなど、すべてのケースが異なると言っても過言ではなく、現地に到着してみてビックリ! ということもあったそうだ。

「トラブルにならないために、下見も行なっています。特に階段上げが必要なのか、クレーン車でやった方が良いのか、搬入口が玄関ではなく窓になるのかなど、ケースはバラバラですからね」

仕事の量は、販売店からの運搬、引っ越しなど含め、1日平均して50件ほどだが、3月などの繁忙期には、1日100件を越える依頼を受けるそうだ。「そのときはさすがに辛かった」と富田さん。
 


繁忙期には1日100台運ぶことも

 
また創業50年を越える、康平運送ならではのメリットを話してくれた。

「新品のピアノを運んでいるというのは大きなことです。やはり、新品を運ぶというのは、独特の緊張感があるんですよ。お客さんも楽しみに待ってくれていますし、こちらとしてもありがたいことです。もちろん中古でも運び方は同じですし、手を抜くことはないのですが、常にそういった緊張感を保てているのは、創業50年ずっと新品のピアノを運んできたという理由もあると思います」
 


熱い想いを語る富田さん