創業110年の老舗「野毛おでん」を徹底調査!
 ココがキニナル!
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野毛おでんについて詳しく知りたい!!(まさちゃんGOGOGOさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
野毛おでんは最高の材料を使用し、100年以上変わらない味でおでんを出し続ける老舗だった。
ライター:吉田 忍
	寒い日に食べたくなるものといえば、やはりコレではなかろうか。
	
	「お・で・ん」
	
	冷たい風に襟を立てて歩いていると、ふわりと漂ってくる出汁(だし)のきいたやさしい香り。嗅ぎ付けた鼻孔は即座に脳にイメージを伝える。 
	 
	コトコトと煮込まれる大根や玉子が湯気をたてている姿。やけどしそうに熱い大根を口の中で、はふはふとほおばる感触さえ想像させる。冬の夕暮れ時に漂ってくるおでんの香りにはどんな美女のウィンクよりも誘惑力がある。
	
	ということで、取材に伺ったのは関内の吉田町にある「野毛おでん」。伝統の味を四代にわたり受け継ぐ老舗である。
	 
	
	吉田町にある「野毛おでん」
	 
	近ごろでは、おでんは冬になるとコンビニでも売っているし、屋台のイメージが強いので安くて手軽な感じがする。
	
	しか~し、野毛おでんは違う。
	最初にぶちかましておくが、野毛おでんの大根はひとつ500円だ!
	 
	  
	 
	100年以上変わらぬ味を継承する創業110年の老舗
	 
	野毛おでんの歴史は1903(明治36)年にさかのぼる。
	初代、蕪山鉄五郎(かぶやまてつごろう)が、横浜船渠(よこはませんきょ)で働く人を相手に野毛で屋台のおでん屋を始めた。
	
	船渠とはドックのことで、船を建造、修理する場所。現在ランドマークタワーにドックヤードガーデン(国重要文化財)として、当時の石造りドックが復元されて残っている。
	 
	
	年季の入ったのれんがかかる
	
	港湾労働者向けの屋台だったが、初代・鉄五郎は思い切りおごった材料を使い、手間をかけておいしいおでんを出した。
	それが人気となり、1913(大正2)年に現在の場所に店舗を構える。
	
	その後、二代目・庄次郎、三代目・雅志郎(まさしろう)へと継承され、現在は四代目の武夫さんが店主となり、100年以上変わらない味を受け継いでいる。
	 
	
	一番左が初代・鉄五郎さん
	
	4枚の写真は初代ご夫婦と二代目ご夫婦。
	初代の奥様の写真を見ると着物にたくさんの勲章がついている。
	
	「屋台のころから繁盛して、それは忙しかったそうですよ。お店が出せたのはお客様のおかげ。初代のおかみさんは、儲けを社会に還元しなければいけないと赤十字に何度も寄付をしたので、たくさん勲章をいただいたんですよ」と、話してくれたのは現在のおかみさん。
	
	それから代々、赤十字への寄付を行っているそう。
	 
	
	お話を伺ったおかみさんは三代目の奥様、良子さん
	
	おでんといえば冬の定番のように感じるが、野毛おでんでは一年中、夏でもおでんを提供している。
	
	これは、「昔から夏場の暑い時ほど体を冷やしやすいので、あたたかいものを食しなさいという先人の知恵がある。上客にはあたたかいものを」と、疲れた労働者のことを考えて、年間を通しておでんを提供し続けた初代の考えで今も変わらない。
	 
	 
	 
	100年以上変わらない人気のおでん
	
	100年以上守られている味のおでん。人気の種を盛り合わせにしてもらった。
	定番の大根、玉子、焼き豆腐(300円)など、常時20種類以上あり、そこに季節メニューが加わる。
	今の季節は、カキ(750円)や、ハマグリ(750円)がある(価格は仕入れなどにより変わることがある)。
	 
	
	人気種の盛り合わせ
	
	出てきた盛り合わせを見て昆布の立派さに驚いた。その厚さといい、色つやといい、そこらのおでん屋ではお目にかかれない。
	
	聞くと、昔から昆布は日高の一級品を使っているという。
	
	「日高昆布の一級品を使っているのは、横浜ではうちだけだそうです。あとは東京に1軒だけ使っている料理屋さんがあると昆布の問屋さんが言っていました」
	
	大きくて均一な厚さ、鮮やかな緑色をした定番の人気メニュー日高昆布はひとつ500円。
	 
	
	一番人気の大根 (500円)
	
	大根は三浦大根を使用していて、特大サイズの大根の太い部分だけを使用するので1本から2~3個しか作れない。
	皮を厚くむき丁寧に面取りをして、2時間水煮をした後、3時間流水でさらす。それから8時間ほどおでんつゆで煮含ませるという、とても手間のかかった一品。
	 
	
	「明日の分です」と仕込まれていた大根。この菜箸は手作り。やわらかい大根を持ち上げても崩さない
	
	真っ黒になった大根は、芯までしっかりとつゆがしみ込んでいる。
	アツアツを口に入れると、ほろりと崩れてつゆの味とともに瑞々しい大根の香りが漂ってくる。
	
	しっかりしたつゆの色は関東風らしくかなり濃いが、最高級のかつおぶしを大量に使い、醤油も昔は輸出向け専用だった特級品を使っているとのこと。
	 
	
	おでんといえば玉子も外せない
	
	次に玉子(150円)だが、これも手間をかけたものだった。生玉子を殻のまま冷めたおでんつゆに入れ、2日間かけて芯までつゆをしみ込ませるという下ごしらえがしてある。
	ゆで玉子をつゆで煮たものと違い、しっかりと味がついている。
	 
	
	おかみさんのお勧めベスト3
	
	「そうね、全部おいしいけど、大根とふくろとキャベツ巻かしら」
	
	ふくろ(500円)は三代目が考案した人気商品で、野菜を中心に10種類の具材が油揚げの中に入っている。キャベツ巻(500円)は鶏の挽肉をまいた大きなロールキャベツ風で、これも手作りの逸品。
	 
	 
	
	 






