西区藤棚町にある「今村銃砲店」ってどんなお店?
ココがキニナル!
西区の藤棚町にある「今村銃砲店」という猟銃の販売店が昔から気になっています。その筋では有名な店らしいのですが、店が店だけに冷やかしには行けないので入ることもできません(aghdさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
来年60周年を迎える老舗で、業界メディアに登場するなど確かに「その筋では有名」。取材を通じ猟に対する思いが伝わってきた。
ライター:久保田 雄城
横浜駅から車で8分ほど、「ふじだな1番街」という落ち着いた商店街の入り口から徒歩1分のところに、その店はあった。
商店街「ふじだな1番街」入り口
今村銃砲店全景
しかし、シャッターは閉じられている・・・(後でわかるのだが1階は作業場兼駐車場であった)。「いかん、取材日を間違えたか」とあせり、スケジュール帳をチェックしてみると、間違えてはいなかった。
警備会社のステッカーが何枚も貼られたビルの隅にある小さな通用門のようなドアに目をやると、そこに「入り口」と書いてある。インターホンを押すと、「どうぞ」という声。ドアを開けるとそこには、普通の民家にあるような狭く急な階段が・・・。
かすれた看板にお店の長い歴史を感じる
店舗に続く階段
ちょっと緊張気味に階段をのぼると、店主の今村逸夫さんが迎えてくれた。
終始、穏やかな笑顔でお話ししてくださった、今村逸夫さん
1954年創業、横浜屈指の老舗店
今村銃砲店は、1954(昭和29)年に今村さんの父親が創業したお店。来年60周年を迎える老舗だ。
今村さんご自身も、全日本狩猟倶楽部の発行する「鉄砲年鑑」の編者であったり、銃砲の業界誌に度々寄稿したり、パソコン通信の時代に「射撃・狩猟フォーラム」を主宰したりと、お店同様「その筋では有名」な方であった。
お店は、小売りだけではなく、フィンランド等から銃を輸入し、卸しとしても営業している。かつては横浜市内に3軒の銃砲店があったが、今では、こちらのお店1軒のみとなっている。
店名に銃砲店という名称が付いているが、具体的に扱う銃は、火薬を使う散弾銃、ライフル、火薬を使わない空気銃(エアガン)の3種類。目的は狩猟用の銃、すなわち猟銃が中心となる。猟銃というのは、軍用銃としての銃から派生したもの。今でこそ、狩猟用や軍用など細分化されているが、昔はあまり違いがなかったという。
店舗と事務所を兼ねている2階
一番簡単に手に入れることができるのは空気銃。講習を受けて、警察署に所持許可申請をすれば、およそ35日後には持つことができる。その次は散弾銃。最も難しいのがライフルで、これは散弾銃のライセンス取得から原則10年経たないと持つことができない。
価格はピンキリだが、新品でも安いものは15~20万円程度、高いものだと400~500万円が相場のようだ。また、日本製は高いもので200万円ほどだという。
今村銃砲店オリジナルの弾丸、ペレット
狩猟業界を震撼させた、ある事件
ある事件が起こるまでは、ライセンス所持者は全国で17万人、30万丁の銃が保有されていた。しかし、その事件を境に猟師人口が激減して、今では、10万から11万人とのこと。ちなみに神奈川県の猟友会の会員も5000人から、3000人弱へと減っている。
ある事件とは、2007(平成19)年12月に長崎県佐世保市で起きた散弾銃乱射事件のことである。スポーツクラブ内のプールに男が侵入し、8人を殺傷した。
この事件を受けて、銃保持に対する世論が厳しくなり、翌年の2008(平成20)年、銃刀法が改正された。その改正で、3年ごとのライセンス更新時に、警察官が自宅(保管場所)に銃の保管状態の確認のために訪問することになった。やはり誰しも警察官の自宅訪問というのは、あまり楽しいことではないので、こういったことも猟師人口の減少の原因の一つではないかと今村さんは考えている。