横浜ベイブリッジをくぐれない大型客船の対応策は?
ココがキニナル!
横浜ベイブリッジの海面からの高さが低く、海外の超大型クルーズ船が通り抜けできない為、東京港などに寄港地を奪われている件について調べてください(Nipさん、タッカーさん、katsuya30jpさん)
はまれぽ調査結果!
横浜ベイブリッジをくぐれない大型客船について、横浜市では大黒や本牧の貨物ふ頭を国際客船ターミナルにする案の検討をはじめている!
ライター:吉澤 由美子
大黒ふ頭と本牧ふ頭を結ぶ横浜ベイブリッジは、横浜国際航路を横断する2層構造の斜張橋だ。1989(平成元)年9月に上層の首都高速道路が開通。2004(平成16)年に下層の国道357号線も開通した。
横浜港の入口を横浜ベイブリッジが結ぶ
この横浜ベイブリッジをくぐらないと、客船は国際客船ターミナル「大さん橋」に寄港できない。
景観も施設自体も美しい大さん橋。徒歩圏に観光地があるのも魅力
ところが近年の豪華客船大型化により、横浜ベイブリッジをくぐれない船が増えているらしい。
そこで、横浜市港湾局に伺って、ベイブリッジをくぐれない豪華客船の寄港について、企画調整部企画調整課の厨川(くりやがわ)さんと蛯名さんに話を聞いてきた。
港湾局企画調整課
貨物埠頭に入港する豪華客船
横浜ベイブリッジの海面からの高さは55m。クイーン・エリザベス2(52m)や、横浜に当時寄港していたロッテルダム号(53m)がくぐれる高さとして設計された。
大黒ふ頭と本牧ふ頭を結ぶ横浜ベイブリッジ
ところが2003(平成15)年に建造されたクイーン・メリー2は、海面からの高さが約62m。この船は、当初の設計案ではニューヨーク港にあるヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ(海面から68m)をくぐれなかったため高さを抑えたのだが、それでも横浜ベイブリッジをくぐれるまでは低くならなかった。
現在も、乗客数を増やすことで乗船価格を抑えるため、クルーズ船の大型化は進んでいる。2011年のデータでは、横浜ベイブリッジをくぐれないクルーズ船は世界に20隻程度あり、今後さらに増えていくと考えられている。
こうした超大型クルーズ船が横浜港に寄港する場合、大黒ふ頭など、横浜ベイブリッジの外に入港するしかない。
しかし、大黒ふ頭にはマイナスポイントがある。
対岸の大黒ふ頭に大きな貨物船
まず、公共交通機関でのアクセスの悪さ。海外からのクルーズでも、早朝に入港して夜には出港していくスケジュールが珍しくなく、現地の観光に使える時間は限られている。さらに入出国手続きにも時間がかかるため、アクセスの悪さが加わると観光に使える時間がますます少なくなってしまうのだ。
大さん橋に寄港した飛鳥II。この眺望も横浜港の大きな魅力のはず
次に、大黒ふ頭は、本来、貨物専用ターミナルなので、スケジュールを調整するのが難しい。
横浜市港湾局では、「今までベイブリッジをくぐれないからという理由で、外国のクルーズ船が横浜への寄港をやめたことはないと認識している」そう。ただし、「日程の調整でダメになったことはある」とのこと。
クイーン・メリー2は、2009(平成21)年3月と2010(平成22年)年2月の2回、横浜の大黒ふ頭に寄港しているが、乗客の利便性や安全面で条件がよくないことから、それ以降は日本の寄港地を長崎港や大阪港に変更している。
横浜ベイブリッジより手前は夜景もカラフル
客船の寄港数でいうと、横浜は10年連続日本一。だが、海外の客船のみで見た場合の寄港数では、ほぼ例年5位程度。2012年のデータでは、那覇(73回寄港/以下数字のみ記載)、博多(63)、長崎(55)、鹿児島(37)、石垣(33)、横浜(24)。首位の那覇73回と比べると横浜の寄港数は3分の1程度だ。
近年、アジアクルーズで寄港しやすい西日本がその数を大幅に増やしているとはいえ、横浜の寄港数はちょっと寂しい。