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殺処分「ゼロ」?神奈川県における動物保護の光と影・後編

ココがキニナル!

神奈川県は2016年度の犬猫殺処分はゼロと発表したが、横浜市はどうなの? 時を同じくして市は待機児童が2人と発表するも、実態とかけ離れ過ぎていると批判されたばかり。キニナル!(よこはまいちばんさん)

はまれぽ調査結果!

横浜市では処分対象動物に対し安楽死を行っている。神奈川県は犬猫の処分はしない。殺処分「ゼロ」の光と影をボランティアさんに直撃

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ライター:関口 美由紀

センターに出来ないことをやる、やるしかない



しかし、今まで取材をした中で考えてみると、どうしてもボランティアさんに頼りすぎな
のではないかと思ってしまう。それを承知の上で活動しているのだろうか?

「新たに収容した動物たちについて情報を出してくれるようになったのは、いいことだと思っています。情報をオープンにしてもらわないと、問題も見えないんです。神奈川県は昔からわりとオープンでした。だから、ボランティアも『何が必要なのか』『どうしたら改善できるのか』という指針が持てるんです。逆に、ボランティアに頼ることに気を使って『情報開示が遅れてその間に死んでしまいました』ということの方が問題です」と小島さん。

 

このたちも元は保護犬。今は啓発活動のお手伝いをするスタッフ犬として活躍中
 

民間の愛護団体であれば、同じ予算、同じ設備であっても、臨機応変にもっとたくさんの動物を助けることが出来るのかもしれない。

だが、県が管轄する行政の施設となれば、柔軟に対応出来ないことも多くある。
「職員さんたちで出来ないことがあればやるので言ってください、という気持ちです」と小島さんはいう。

神奈川県動物保護センターは、2019年度を目標に建て替える予定だ。
新施設に対しては何か思うところはあるのだろうか?

「現状を考えると『処分するための施設』から『生かすための施設』へ、と、銘打っているのに、治療はそこそこしか出来ないのはちょっと違うんじゃないかなと思います」
「収容動物が病気やケガで苦しんでいたら、収容動物の保護管理責任者であるセンターが治療するというのは当たり前だと思うんです。動物病院とまではいかなくてもせめて診察と治療が出来るような設備と人材があってほしいと思います」

 

「ペットがいないから関係ない」ではなく命の問題として考えてほしい
 

「理想としては、センターの近隣に住む方のペットや保護動物たちを診察、処置、施術出来る獣医師さんがいる『動物病院』の併設です。新しいセンターは現在計画段階にあるので、この先どうなるか分からないんですが・・・出来てしまってからでは遅いので、今、声をあげる必要がある。言うなら今かなと思っているんです」と語ってくれた。

欧米諸国に比べると日本の動物愛護は、行政も民間もまだまだ発展途上と言える。例えば、アメリカのアニマル・シェルターでは、動物病院やクリニックが併設されており、そこで獣医学の学生実習が行われることもある。耐え難い苦痛から解放させるため安楽死という選択も、もちろんあるが、基本的に回復に向けての治療をして当たり前という考えを持つと小島さんは教えてくれた。

 

「ここに連れてくれば処分されない」と思ってもらっては困る
 

昭和の時代に建てられたこの保護センターで現代的な動物愛護を、というのは無理な話だ。しかしこの先、横浜市と同じような最新の施設を作るのであれば、外側だけでなく内面も時代に合った姿になってほしいと切に思う。

民間動物病院と同レベルの医療機器や獣医師の人員確保・・・。行政としては難しい判断なのかもしれない。
しかし、小さな命を守るために保護センターもボランティアも、これだけの努力をして来ているのだ。あと一歩のところまで来ているというのは、全国レベルで周知されつつあるのではないだろうか。

 

センター内にある慰霊碑。かつて殺処分された動物たちが眠っている
 

現在、県の保護センターの建て替えに際して、県内外からたくさんの寄付が集まっているという。それだけ注目され、期待もされているということだろう。

「県の殺処分『ゼロ』という取り組みは、ペットを飼っていない方にも、結果として動物愛護について考える機会になったんじゃないかなと思います。『税金を使ってまで動物の命を救う必要があるのか?』という意見もあるとのことですが、本当にそんな声があったのでしょうか? 私は、聞いたことがないんです」

本当に、そんなふうに思う人はいるのかな、と小島さんは呟いた。

 

小島さんの元に寄付されたタオル。優しい心が詰まっている
 

「殺処分『ゼロ』の神奈川県が、新しい動物保護センターを建設しようとしている。これは日本の動物愛護の最先端であり、モデルケースになるべき存在ですよね。処分も『ゼロ』、収容動物の苦痛も『ゼロ』、その両方が叶えられるような施設であってほしいし、収容動物が健康に過ごせるように、治療ができるシステムを作ってほしい。神奈川県なら出来る、と思いたいんです」と語ってくれた。