バス・車の渋滞緩和

再開発事業では、綱島駅前のバス乗り場再編や都市計画道路の拡幅を含む整備、地下自転車駐輪場などを整備していくという。
　

現状の綱島駅周辺のバスルート
　

横浜市によると、現在、綱島駅東口のバス乗降は1日当たり約860台。道路幅が狭いこともあり、歩行者がバスすれすれで歩く様子もよく見受けられる。
　

本当にすれすれ
　

実際、駅前を歩いていた80代男性は「耳が悪いので、バスが後ろからきても気づかないことがある。気づいていても杖を使いながらなので、すぐによけられない。早く道が広くなってほしい」と話してくれた。こういった意見は高齢者だけでなく、小さい子どもがいる親を含め、あらゆる世代から聞かれた。

区画整理事業では新綱島駅周辺に新たなバス乗降場を設置して鶴見・川崎方面からのバスを誘導。現在の乗降場は横浜市営地下鉄グリーンライン方面へのバスに対応し、それぞれ1日当たり現在の半数となる430台程度の利用を見込んでいる。
　

バス渋滞の解消に期待
　

また、綱島街道から駅に向かう「綱島交差点」付近は1日当たり約2万台の車両が通っているが、横浜市などによると、将来的には1.5倍の3万台まで増加すると予測されている。
　

取材時は平日午前9時30分でこの交通量
　

区画整理事業では、片側1車線（計2車線）の道路を2倍の片側2車線（計4車線）に拡幅。場所によっては右左折専用車線も設ける可能性があり、車両についても渋滞が緩和されるという。

相鉄・東急直通運転延期の影響？

横浜市が2016（平成28）年2月に地権者ら周辺住民に対して実施した都市計画市素案説明会では、新綱島駅周辺の再開発は2020年度までに完了する予定だった。
　

区画整理も再開発も2020（平成32）年度に完了予定だったが・・・
　

しかし、2016年8月、当初の予定を大きく変更しなければならない事態が発生した。

相鉄・東急線直通事業の整備主体である独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構（横浜市中区）」が、2019年度内に実施するとしていたＪＲ東海道貨物線横浜羽沢駅付近と東急東横線・目黒線日吉駅間に新設する連絡線（約10.0km）を利用して行う相互直通運転が、最大で3年遅れることを発表した。
　

新駅にも当然影響が
　

直通運転の延期について、機構側からは横浜市へ事前の具体的な説明はなかったといい、橋詰課長も「影響は避けられない」という。

橋詰課長は「機構や地権者とも調整を進めていく。土地区画整理や再開発の完了時期は現時点では未定となるが、計画は進めていかなければならない」と話していた。
　

横浜市が2016年9月に示した予定。完了時期は明記されていない
　

新綱島駅周辺の住民に話を聞いたところ「40年も前から再開発の話があるが、一向に終わりが見えない（60代女性）」、「近くにアップルの施設もできるし、市や再開発を行う側には、これ以上渋滞がひどくならないことを期待したい」という声があった。
　

徒歩10分弱の立地に世界的な企業が進出する
　

一方、東口の高層ビル建設が計画されている地域に住む男性は「今回の相鉄（と東急の直通運転）の延期は、われわれのエリアに直接的な影響はないと思うが、綱島全体のことを考えると、市なり機構なりが道筋をしっかり示してほしい」と話していた。

取材を終えて

街の再開発というのは、行政だけでも、地域住民だけでもできない。

今回の直通運転延期が綱島の新たなまちづくりに影響を及ぼすのは必至だが、関係者が調整をすることで綱島、ひいては横浜市全体の活性化を1日でも早く実現できるように動いてほしいと思う。

この問題については、大きな動きがあれば引き続きレポートしていく。


―終わり―