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投稿エッセイの部屋「ヒトイキ」
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疲れ吹き飛んだ「どうぞ」の一言

たくみ(32)

 新卒から10年勤めた会社を辞め、先月転職をした。新しい環境と慣れない業務についていくのに必死で、自分では気付かぬうちに疲れが溜まっていた。

 入社してちょうど一週間ほど経った頃だろうか。帰りにスーパーに寄り、いつものように食材を買って家路を急いでいた。だが、その日は週末分の食材もまとめて買い込み、ビニール袋はぱんぱんに膨れていた。持ち手が手のひらに食い込んで鈍い痛みに耐えていた。

 そして、家まであと少しとなった路上で、持ち手のビニールが破れて中身があたりに散乱してしまった。私は茫然とその場に立ち尽くした。もう、疲労すら感じなかった。

 その時、背後から声をかけられた。

「あの、すみません」

 振り返ると、年若い女性が立っていた。手には綺麗に折りたたまれたビニール袋が握られていた。

「よかったらこれ、どうぞ」

 そっとビニール袋を差し出すと、女性は微笑んで去っていった。私はお礼の言葉すら言えず、依然その場に立ち尽くしてしまっていた。

 帰宅後、何とも言えない温かい気持ちになった。お礼の一言も言えなかったことが悔やまれたが、それまでの疲れは一気に吹き飛んだ。

 改めて、あの時の女性に言いたい。どうもありがとう。

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  • これ、私かもしれません。場所は鶴見で10年くらい前の話でしょうか?暗い路上で、ビニール袋が切れて呆然としてる方を見つけて、いつも袋の予備を持ち歩いていたので「差し出がましいかな?落ちた荷物は全部はいるかな?」とドキドキしながら袋を差し出したのを覚えています。今は北海道で暮らしていますが、たまたまはまれぽを懐かしくなって読んだら「あれ?この話知ってる!」と思いコメントしました! お役に立てていたなら嬉しいです(^^)

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